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映画「ナチス第三の男」を見た感想(一部ネタバレあり)

ナチス・ドイツのNo.1と言えば、言わずと知れたアドルフ・ヒトラーです。


No.2についてはルドルフ・ヘス、ヘルマン・ゲーリング、マルチン・ボルマンといくつか名前が上がります。


しかし、ヒトラーが絶対的な存在であったため、歴史に興味のない方が彼らの名前を知ることはまずないでしょう。


では、この映画のタイトルにあるナチス第三の男とは誰か?


それがこの映画の主人公、別名「金髪の野獣」、ラインハルト・ハイドリヒです。

「ナチス第三の男 」アスミック・エース公式サイトより。

その冷酷な手腕により敵味方から恐れられ、ユダヤ人絶滅計画を実質的に推進した人物です。


この映画はそんな彼の人生と、彼に対する暗殺計画を題材としています。


目次

あらすじ

若き海軍将校ハイドリヒは文武に優れた優秀な軍人でした。


容姿にも優れ、当然のことながら女性にもたいそうモテましたが、遊ばれた女性からの告発で軍隊をクビになってしまいます。


開始五分もしないうちに画面が揺れるかと思うぐらいにバックで激しく愛し合ってたのに、突然現れたリナにハイドリヒを取られちゃうんだから、そりゃ訴えますよ。


ここから彼の人生は大きく変わります。
ハイドリヒは妻となったリナにナチスへと導かれ、政治活動に参加します。


生来の優秀さと邪魔者は容赦なく始末する冷酷さでのし上がり、膨張するナチスの権力と共にハイドリヒは国家の重要人物となっていきます。


彼は人生の絶頂を迎えました。ドイツがチェコスロバキアを併合したことにより、彼はチェコスロバキアの実質的な支配者となるのです。


しかし、ハイドリヒとナチス・ドイツからチェコスロバキアを解放するべく、水面下で若者たちやレジスタンスが動き始めます。


運命の瞬間は間もなく訪れようとしていました。

ラインハルト・ハイドリヒという男

記事を書くにあたってハイドリヒの事を調べましたが、凄いあだ名をたくさん持っています。


「金髪の野獣」、「絞首刑人」、「プラハの虐殺者」、「第三帝国で最も危険な男」、「暗殺者ハイドリヒ」、「鋼鉄の心臓を持つ男」


見た目は模範的なアーリア人(北欧系の容姿、長身、金髪)であり、子煩悩、仕事をさせれば超一流でした。


他にもピアノ、バイオリン、フェンシング、乗馬、はては戦闘機の操縦まで、何でもできる完璧超人だったようです。


ヒトラーはハイドリヒにベタ惚れしていて、いつの日か後継者を指名するならハイドリヒを、と考えていたとか。


ただ、一方で性根は極めて残酷で苛烈な人物で、味方であるはずのナチス関係者からも裏では上記のあだ名(暗殺者ハイドリヒなど)で呼ばれていました。


なお、映画にはないシーンですが、ハイドリヒのひどい浮気癖が原因で、彼の部下と奥さんのリナが不倫します。


それを知ったハイドリヒは部下に毒を盛って、解毒剤と引き換えに不倫の自供を要求します。


最終的にはそれがきっかけで、奥さんとよりを戻したとか。


公私共にぶっ飛んだ人物です。


映画の中では、そんな彼の2面性も描かれています。

感想

映像としての美しさはあると思います。


ナチス時代のドイツの持つ華やかな面や映画内のイベント(ハイドリヒの葬儀シーンなど)も実に堂々としています。


歴史、ナチスマニアには嬉しいポイントでしょうか。


ハイドリヒたちによる拷問や銃殺シーンもたくさんあります。「金髪の野獣」の映画ですから。


しかし、映画の構成は、前半でハイドリヒの人生、後半ではハイドリヒを暗殺した人たちの最後の日々を描いています。


それにより前半と後半で別作品のようになっており違和感を感じます。


正直、タイトル「ナチス第三の男」と作品の内容には大きなズレがあるとしか言い様がありません。


ちなみに、この映画の公開の2年前に「ハイドリヒを撃て!」という映画が上映されています。


こちらは完全にハイドリヒを暗殺者した側の視点から映画が作成されており、始まりからラストシーンまで第三の男と同じ筋道で展開されます。


両方を見た身としては、第三の男ではハイドリヒの人生にもっとフォーカスしてもよかったと思います。


いずれにしても一つの映画の中にある、分断された感じが無ければもっと評価されたと思います。

原作タイトル「HHhH プラハ、1942年」の意味

大文字と小文字のHが四つ、なんの意味でしょう?


答えは「Himmler's Hirn heist Heydrich(ヒムラーの頭脳、すなわちハイドリヒ)」です。


ヒムラーはハイドリヒの上司で、今回の映画にも出てくるメガネのおじさんです。


映画の中では描かれていませんでしたが、ハイドリヒはいくじのないヒムラーを内心軽蔑しており、ヒムラーもまた優秀すぎるハイドリヒを恐れていたようです。


HHhHはそんな彼らの複雑な関係性を表した言葉です。




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